そうだ!レトラムに乗ろう【前編】

最近山に登っていない。
チャンスは何度もあった。
でも,よたよた氏から”山に行くのがかったるい症候群”ウイルスが伝染したようでなかなか山に足が向かない。最近はほぼ毎週バドミントンをしているので特に運動不足にもなっていないし,この時期に山に登る必然性が見当たらないのだ。

この日の天気予報は「はれのちくもり」。
久しぶりに鬼ヶ岳にでも行ってみようか。
前夜まではそんな気になっていた。

朝,6時半に目が覚めた。老化著しい中年の朝は休日でも早いのだ(笑)
コーヒーを淹れ,新聞を見ると,「山天国ふくい 愛好家歩き方ガイド」なる記事が目に留まる。「ガラガラ山」「金毘羅山」「草間岳」「剣ヶ岳」の4つの山が紹介されていた。ここ数年は山登りにはまっていたのでそれなりに県内の山については知っているはずだがこの4つの山,いずれも知らない山だ。ガラガラ山なんて面白そうじゃないか。そこに登ってみるかな,などと思いながら新聞をめくっていると「レトラムで異国気分を きょうから春運行」という記事を発見。

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考えること数分。

よし,決めた。レトラムに乗って公園口まで行き,足羽山に登って帰ってこよう。昼食は前から狙っていた越前市内の食堂だ。

そうこうしているうちに,ムスメが起きてきた。
ふと思いついて,「レトラムっていう電車に乗りに行くけど,一緒に行くか?」と声をかけてみる。社交辞令のつもりだったのだが,ムスメは真剣に悩み始めた。

ムスメと一緒ということになると,残念ながら足羽山はあきらめることになるが僕はどちらでもよかった。そして,娘の導き出した答えはまさかの「YES」だった。

越前市内にクルマを停め,歩いて福井鉄道越前武生駅へと向かう。

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「銀座通り」て!「閉市記念碑」て!心の中でツッコミを入れながら歩いていると,

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「越前武生駅(旧武生新駅」が見えてきた。僕の知る限り,福井鉄道福武線の中では最も大きな駅舎だ。
僕はほとんどこの駅を利用したことがない。こどものころ,電車に乗って映画を観に来た記憶があるくらいだ(昔は武生にも映画館があったのだ)。だからかなり新鮮である。

ムスメは西鯖江~田原町間の定期券を持っているため,水落から乗ればムスメの電車代は浮くのだが敢えて越前武生駅から乗ることにしたのはどうしても座りたかったからだ。もうね,立ちっぱなしはキツイお年頃なのよ(笑)

新聞にも載ったことだし今日は初日だし,かなりの人が来るんじゃないかとムスメと話をしていたのだが,定刻の15分ほど前なのに駅にはほとんど人がいない。カメラをぶらさげた鉄ちゃんらしき若者が1人いるだけだ。もしかして,時間を間違えたんじゃないかと不安になる。

一日フリー切符(550円)を2枚購入し,タバコ(アイコス)を吸うために一旦外に出た。

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タバコを吸いながら停車しているフクラムや880形電車を眺めていると,

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ジャンジャンと
踏切の音が
聞こえてきた。

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やってきたよ。
レトラムが。
行先表示は「回送」となっている。

このレトラムは,シュトゥットガルトから土佐電鉄を経て,福井鉄道にやってきた。僕はシュトゥットガルトでも高知でも電車に乗った。高知(土佐電鉄)で乗った電車はこれではなかったことは明確なのだが,シュトゥットガルトで乗った電車は全く覚えておらず,もしかしたらこの形の電車にのっていたかもしれない。と都合のいい思い出補正をしているのは以前に書いたとおりだ。

ブルーのフクラムが越前武生駅の2番ホームから発車していくと,定刻の5分前くらいに改札が始まった。
人はさっきからほとんど増えていない(笑)
小さな子ども2人を連れた若いお父さんの3人組がいてなんだかほっとする。

めっちゃ混むんじゃないかってのは全くの杞憂だった。杞憂過ぎて笑えるレベルだ。
本当の鉄道ファンは,もう去年やおととしに乗車済みなのだろう。

「改札してくれた人,いつも西鯖江駅にいる人だよ」とムスメ。
福井鉄道株式会社社員がどういう勤務体系になっているのかいささか興味はあるが,臨時列車のために休日に駆り出されたのかもしれない。

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3番線,770形の前に735形レトラム

フクラムを横目にレトラムに乗り込む。運がよければ帰りにフクラムに乗ることができるだろう。
僕とムスメは一番前のカップルシート(笑)に向かい合って座ることにした。

車内にはドイツで使われていた当時のものと思われるドイツ語表記があちこちにあり,

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吊革も面白い形だがなんか持ってみようとは思わなかったw

冷暖房設備がないため春と秋しか運行しないのだが,扇風機がついていた。Panasonic製である。日本に来てから(土佐電鉄か福井鉄道か)取り付けたものだと思われる。この列車がドイツにいたころはブランド名はまだNationalだったと思うんだ。僕のうちにはいまだにNationalと書かれた電化製品がいくつか生存していますし,うちの母親はパナソニックのことをいまだにナショナルと言うのだ。

話題が大きく逸れた。

とにかく車内を眺めているだけでも楽しいのである(最初の10分ほどだけだがww)。
大学の教養部(1,2年生)では第二外国語としてドイツ語を選択していたのだが,もちろんさっぱり理解できない。何のためにドイツ語を学んだのか。時間の無駄だったとしかいいようがない。でもね,無駄って大事なんだよ。

定刻の9:30になると,乗務員を含めても一桁の数の人間しか乗っていない臨時列車レトラムは発車した。

ムスメも僕も自然に顔がほころぶ。

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北府駅に停車すると,600形と200形が停留しているのが見える。

「あの電車最近,見なくなったよね。昔はいっつもあの電車に乗ってたのに最近はフクラムばっかだよ。どうしてあれ動かさないんだろう?」
とムスメは言う。

あんな古い電車には乗りたくないんじゃないかとムスメに尋ねると,
「あの電車,広いからいいんだよね。朝はメチャクチャ混むんだから!」
とのこと。

特に200形はこのレトラムよりも古い列車だそうだ。福井鉄道の生え抜きであり,鉄道ファンからの人気も高いようだ。福井鉄道さん,うちのムスメのためにもたまには200形も動かしてあげてくださいよ。

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いちおう急行なのだが,臨時列車のためダイヤ的には優先度は低いようで越前武生から福井駅まで1時間10分もかかってしまう。普通電車でも40分ちょいで着く列車もあるのに。まあのんびりするにはいいと思うんだ。

車窓からは,三脚を構えた撮り鉄さんの姿もお見かけした。
小さな子供が手を振っている姿も。

この電車には運転手のほかにもう一人乗務員がおり,車内アナウンスとドアの開閉操作,無人駅から乗った乗客への切符販売などを行う。ワンマン用のドア開閉装置がないため,彼女がドアの開閉とステップの出し入れを行わなければならないし,発車するときには「ビッビッー」(人によっては「ブッブッー」って聞こえるかな。まあどっちでもいい)って発車を知らせるブザーを鳴らさなくてはならないため乗客が少ないにもかかわらず意外と忙しそうだ。

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車内にはスピーカーがあるのだが,ジーーーーっていう小さなノイズ音を発しているだけで,女性乗務員が声を張り上げて(地声で)車内アナウンスを行う。

「ご乗車ありがとうございます。次はいえひさ~。いえひさ~。」って。
昭和感があっていいね!

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家久,水落,西鯖江,神明で停車し何人かのお客さんが乗ってきた(彼女が苦労してドアの開閉,ステップの出し入れをしても誰も乗ってこなかった駅もあったように思う)。

神明を過ぎたころには席は1/4くらいは埋まっただろうか。

三十八社では,

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対面からやってくるさくらいろのフクラムの通過を待って出発。
なんかこのあたりからかすかな異臭がしだした。いちおう機械のメンテナンスを生業としているワタクシなのでこういうのには敏感なのだ。グリスが焦げるようなそんな臭いだ。これが正常な臭いなのか異常な臭いなのか,それが僕にはわからないので気づかなかったことにする(笑)

いちおう急行なので浅水,ベル前を過ぎると赤十字前に停車した。

ここで時間調整のため10分も停車する。
なるほど,ここが撮影タイムなわけね。と僕はカメラを片手にほかの鉄ちゃんとともに電車を降りる。

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ムスメは何やら小難しい本を読んでいて降りてはこない。


(つづく)

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